2008年11月03日
弟子のカルマを受けて
今回も、教団の書籍からの抜粋です。
一九八九年五月にインドに行ったときのことですが、過去世で尊師のグルであられたこともあるカール・リンポチェが住んでいらっしゃったソナダという町から、ニューデリーに帰る途中――そのとき私は尊師とは別の車にのって移動していたんですけど――高度二千メートルくらいの場所から降りてきたので耳がキーンとなったんですね。つばを飲んでも治らなくて、そのまま放っておいたんです。そうしたら、しばらくして右耳が痛み出して、その痛みがだんだんひどくなって、眠ることもできないくらいになったんですよ。熱は出てくるし、顔は青くなるしというひどい状態になって、もう心の中でひたすら尊師を観想し、グルヨーガのマントラを唱えていたんです。
そうしたら、ある町に着いたとき、尊師がすごく耳が痛むとおっしゃったんですよ。医師の資格のあるシャモンに症状を見てもらったら、尊師も私も中耳炎だったんです。これは私のカルマを尊師が受けてくださったと思うんですね。
それによって尊師は、ホテルでは一人で瞑想に入っていただかなければならないほど、ひどいご様子になってしまわれました。普段でしたら、お休みすることなく、弟子達を集めて説法なさったり、打ち合わせをなさったりするのですが……。
実は、ソナダを出発する前にも、尊師は具合が悪くなった大師にシャクティーパットをされていたんです。ですから、そのカルマを受けて、既にそのときかなり調子を崩されていらしたのでしょう。それで、とても打ち合わせなどできる状態ではなかったんです。
私の方も、膿やどす黒い血がどんどん出てきて、痛みもひどく、熱も出て、眠れない状態でした。修行者ですから薬は飲みたくなかったんですが、急ぎの旅ということもあって抗生物質を勧められて飲んだんです。でも、いっこうに良くならなかったんですね。
私のそういう状態を心配された尊師は、意思なさって、シャクティープラヨーガ(遠隔からのエネルギー移入)を三回してくださったんです。それから解熱のためにと、スイカの果汁にエネルギーを入れてくださって、それをいただいたらやっと熱が下がり、痛みが引いてきたんですね。だいぶ耳も聞こえるようになったんです。
一方、尊師の方はどうなったかというと、どんどんお悪くなってしまわれたんです。熱は出っ放し、体は動けない、痛みは止まらないと。でも、――ここが尊師の偉大なところなんですが――凡夫だったら動くなんてとんでもない状態なのに、日本に残してきた弟子・信徒さんが待っているだろうと、お体を顧みず、その最悪の状態のまま車でニューデリーに戻ったんです。
私はそのとき思いました。私がどうしようもなく痛いと感じていたときに、尊師も同じ痛みを感じていらっしゃったと。じゃあ、私がそのときに、他の人の分までも、これと同じ痛みを受けなければならない状況に自分から進んでなるかと。でも、それは絶対考えられなかったんですね。自分の痛みでさえ四苦八苦しているのに、さらに他の痛みを受けようとする心の働きというのは出てこない。ところが、尊師の場合は、私が苦しんでいるのをご覧になって、自分のことはさて置いて、早く私を良くさせてあげたいとお考えになってエネルギーを入れてくださったと。
「他の苦しみを自己の苦しみとする」というのは、口で言うのは簡単ですが、尊師のようにそれを常に実践していらっしゃる方はいないと思います。
明子の一言
カルマを受ける・・そんなことができるんですか
Posted by 明子 at
21:15
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